被害、長年置き去り
<<
作成日時 : 2008/01/22 23:28
>>
トラックバック 3 / コメント 2
誰が置き去りにしたか。
というと、国、それから一般市民である私も、責任をまぬかれません。私は、昨年10月に薬害C型肝炎訴訟の記事を新聞で読むまで、全く何も知りませんでした。
2008年1月16日 朝日新聞
「被害、長年置き去り」
今回の救済対象となったC型肝炎被害者の多くは、80年代に血液製剤を投与された人たちだ。
薬害エイズ訴訟が和解したのは96年。当時から肝炎被害は知られていた。
「リスク受忍論」
それなのになぜ、今まで肝炎被害は「置き去り」にされたのか。
一つには、「治療で命が助かったのだから、多少の副作用は仕方ない」という「リスク受忍論」が、広く医療関係者の間に存在していたことがある。特に肝炎は、かつて輸血を受けた患者の多くが発症していた。医薬行政をつかさどる国の意識も例外でなかった。
さらにエイズは当初、「死に至る病」だったことがある。治療法が格段に進んだいまとは異なり、感染が「死」に直結した。血友病患者が治療によって命を奪われたと訴える姿に、世論や政治は動いた。
では肝炎は死に至る病ではなかったのか。
いつから、C型肝炎が肝がんなどに信仰する危険な病気と認識されるようになったのかは議論がある。だが、遅くとも90年代には危険性が認識されたとみられることが、02年に日本産婦人科医会が国に提出した文書から読み取れる。
B型肝炎でも急性症状が治まった後、予後の良い人がいる一方で、肝がんなどに進む人がいることが知られていた。
日本と同様に80年代に薬害エイズを体験した欧米では、血友病患者らのエイズ被害がわかると、それ以前から問題になっていた肝炎にすぐに目を向け、対策をとった。
対策遅れた日本
だが日本では、00年秋に新たな肝炎被害が報道されるまで対策はなかった。01年から輸血経験者などに検査を呼びかけ、住民検診にも取り入れた。国の肝炎対策予算は毎年50億〜80億円程度。治療費助成を求める声も高かったが、約350万人ともされる膨大な感染者数に国は二の足を踏んだ。
その意味で、世論を喚起したC型肝炎訴訟の功績は大きい。
新年度から政府はインターフェロン治療への医療費助成に乗り出す。治療対象は限られ、7年の時限つきだが、画期的だ。
とはいえ、製剤投与時期にかかわらず一律に給付金を支払うという救済法による「決着」に問題がないわけではない。
法に国の責任時期は明示されなかった。「こだわればまとまらない」と与党関係者は話した。
だが「薬害」を特定して再発防止を図るには、時期の明確化こそが必要だ。「治療の有効性」を「肝炎感染のリスク」が上回ったのはいつか。
だれがいつ、何をすべきだったか。できなかった理由は何か。
フィブリノゲン製剤では、@肝炎リスクを考えて製剤の適応範囲を限るべきだったか否かAいつ警告を発すべきだったかという争点をめぐり、5地裁の判断は分かれた。
同製剤が産科医療の現場を中心に安易に使われたことは間違いない。
ただ、地域や時代によって輸血用血液などの確保が困難だった△妊産婦死亡をめぐる医療過誤訴訟では同製剤を使わなかった医師が賠償を命じられた、という事情もある。
同製剤の適応はいま、全国約50人の先天性疾患だけだ。だが、検査などでウイルスを除く技術が進んだ現在、大量出血時に輸血量を減らせる効果が注目され、肝臓移植手術や出産時の大量出血については再び認めるように求める声がある。米国は77年に承認を取り消した一方、ドイツなどでは先天性疾患以外にも使われてきた実績がある。
冷静な検証必要
そもそも肝炎感染者の多くは、輸血や、予防接種時の注射器使い回しなど不適切な医療行為で感染したとみられる。どうすれば被害を最小限に食い止めることができたのか明らかにすべきだ。
基本合意書に盛り込まれた「検証」作業では、一律救済の下であいまいにされた問題点を科学的に歴史的に、そして冷静に、分析する必要がある。
(編集委員・出河雅彦)
<白鳥一声>
薬害肝炎一般対策: 補償と支援の区別
http://8910-1000.at.webry.info/200801/article_19.html
(管理人さま、お世話になっております。m(_ _)m )
血友病のことや、薬害エイズとのかねあいについては。
本来、これらの問題は全部まとめて対策がなされるべきだったと思います。ただ、それぞれの被害者の方がそれぞれの苦しみを持つ中で、訴訟に勝てそうな人から順に訴訟に踏み切っていったから、複雑な事態になっているのだと思います。
それは、手助けをしなかった僕たち市民の責任だと思います。被害者の方々に責任を求めるのは酷だと思いますし、行政がとりあえず目の前の訴訟を解決しようとする姿勢も仕方がないような気はします。
薬害エイズの時に網の目から漏れた「血友病の肝炎」を拾えなかった、市民とジャーナリズムに、今回のことは教訓として刻むべきだと思います。
|